ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

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シンプルだけど印象深い映画

今回ご紹介する映画は、2014年公開のアメリカ映画「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」です。

 

この作品は、アレクサンダー・ペイン監督の6作目の長編作品で、興行的にも批評的にも成功を収め、アカデミー賞のさまざまな部門でノミネートされ、またカンヌ映画祭では、主演のブルース・ダーンが見事男優賞に輝いた作品でもあります。

 

物語は、とてもシンプルで、ウディという名の老人が、一億円当たったという詐欺メールを信じ込み、その賞金を受け取るため、息子のデイビッドと旅に出るという内容です。
冴えない風体の親子二人が車に乗って、広大なアメリカ中西部の大地を、ひたすら進むという内容で、ジャンルは「ヒューマンコメディ」になると思います。

 

コメディと言っても、大笑いするタイプの物語ではなく、シチュエーションでくすくす笑わせてくれます。見ていて「あー、あるある」とか「いるよなあ、こういう人」という感じです。たとえると、カウリスマキや初期の頃のジム・ジャームッシュ、日本で言ったら山下敦弘が雰囲気的に近いです。

 

映像的にも白黒で、車窓からの移動ショットなども多く、やはりジャームッシュやヴィム・ヴェンダースの映画を感じさせます。

 

監督のアレクサンダー・ペインといえば、出世作「サイド・ウェイ」が有名ですが、「サイド・ウェイ」もカルフォルニアのワイナリーを巡る男2人のロードムービーでした。

 

本作は、「サイド・ウェイ」製作直後にすでに企画としてあったそうですが、アレクサンダー・ペインがロード・ムービーが2作続くのを嫌がったそうで、その結果ジョージ・クルーニー主演の「ファミリー・ツリー」のあとに撮影することになりました。
ちなみに、アレクサンダー・ペインといえば自身の監督作は自ら脚本を書くことでも知られています。彼はアカデミー脚色賞最多受賞者の一人だそうです。

 

ですが、本作「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」に関しては、ボブ・ネルソンという脚本家が書いたシナリオを使って撮りました。それでもなんら違和感なく、どこから見てもアレクサンダー・ペイン作品だったことは興味深いです。ボブ・ネルソンの感覚はアレクサンダー・ペインに近いんでしょう。

 

本作が成功した理由は様々あります。ですが、カンヌ映画祭で男優賞を獲得したブルース・ダーンをキャスティングしたことが最大の成功理由といえるでしょう。
ブルース・ダーンは俳優一家(娘のローラ・ダーンも女優さんです)で、映画界でのキャリアは長いものですが、老いてなおクエンティン・タランティーノ作品に出演するなどいまだ健在で、多くの監督たちから使いたいと思わせる彼の魅力は衰え知らずです。

 

アレクサンダー・ペイン監督は、ボブ・ネルソンが書いたシナリオを読んだとき、まっさきに主演のウディにブルース・ダーンを思い描いたそうです。
それくらい彼にとっては当たり役で、この無口で酒好きで少し痴呆っぽい老人を彼以上にうまく演じられた役者は存在しないでしょう。
ぜひ彼の見事な芝居を堪能してください。
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